1. 砂漠のピラミッド

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   メレセグルがドラゴを覗き込んだ。 「ほう……竜の子の名か。数奇な運命もあるものだな…。お主、幸運に恵まれているだろう?」  問われて答える。 「あ、ああ……」 「なぜだと思う?」  なぜ。それは考えたことがある。 「神への感謝を怠らないから」幸運に恵まれるのだ。 「なぜ神への感謝をする?」 「毎日を無事に生きていけるように」 「なぜ毎日を無事に生きなければならない?」 「そりゃ…、死んでしまうから…」 「くくっ、…面白いことを言う。ではお主は、毎日を無事に生きなければ死んでしまうということか?」  蛇のような瞳がキラリと光った。 「……っ、」  ドラゴは言葉に詰まった。無事ではない日もあるが死ぬことはない。こうして生きているからだ。 「竜の子よ、そこのところをもう一度よく考えてみるがよい。答えが見つかるかもしれん…」  メレセグルは伸びをした。 「さて、私はもう逝くとしよう」 「は!?供養は……!?」 「今してくれたではないか、竜の子よ…。お主の歯車のひとつになれたことを感謝している……」  メレセグルはニヤッと笑って消えた。  今のは何だったのか。身体が透けた王様が現れて、数奇な運命とか、歯車とか。  チャリーン…と音がした。床を見るとコインが1枚落ちていた。古銭だった。 「えっ!??さっきの古銭!?」 「…いや、違う。さっきのはピラミッドだったけど、これは蛇の絵柄だ」 「王様が消えて古銭が現れるってどういうこと……?」 「古代魔法にそういった類のものがあると聞いたことがありますが……」  ヒルが答えた。知識人というだけはある。 「専門家ではないのでなんとも言えませんね。魔法使いの方でしたら答えを持ち合わせているのでしょうけれど…」 「そうか、魔法使いか…」 「そうだ。柔軟性のある魔法使いだ」 「仲間に入れるならイケメンじゃないと許さないわよ!」 「……一気に超難関問題になりましたね…」 「イケメンで柔軟性のある魔法使いって…、この世にいるのかよ!?」 「今の王様がイケメンだったんだから、どこかに魔法使いのイケメンだっているわよ!!」  言い忘れていたが、ペシェは大のイケメン好きだ。まったく、男は顔じゃねーんだ!心だろ、こ・こ・ろ!!
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