0. パーティー紹介

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 おれは〈強運〉の持ち主だ。そのおかげで生まれてこのかた衣食住に困ったことはなく仕事も途切れることはない。  盗賊という職業柄、身のこなしが速くダンジョン内では罠にかかることはないし、魔物に襲われることもない。というか、隠し通路や抜け道を見つけるからほとんど魔物に出くわすことがないのだ。  商人のオーロは金に困らない〈金持ち〉で、一生遊んで暮らしても無くならない湯水のごとく使える金と、何もないところから金を生み出す才能がある。金の卵を産む者として国内外の王宮から声が掛かっているが権力には全く興味がない。  ダンジョン内では魔物や他のパーティーとの交渉役を買って出る。オーロの交渉術は言葉の壁どころか種族の壁をものともしない。月に数回はダンジョンの入り口と途中階で店を開くのは、さすが商人というよりほかない。  医者のヒルはもとは白魔術師なのだが、白魔術よりも医学が優れている。折れた骨をくっつけたり、切断された手首を縫いつけたり…。白魔術と医学を混合させた治療法を取っているためどちらの職業からも異端児として扱われているが、学者たちの中では〈知識人〉として親しまれている。  ダンジョン内では治療を受け持ち、料理の腕も一級品だ。  最後にお姫様のペシェ。国の第三王女で、おれが1人でダンジョン攻略していたときに護衛が全員、竜の炎で焼き尽くされてしまったのが始まりだった。王様はペシェに甘く、そのおかげで〈権力〉をほしいままに操ることができる。  護身用の短剣を印籠代わりに使い、ダンジョン内の人間の中で最高権力を持つため、人間同士の争いにはほとんどない上にお宝を盗まれたり強奪されることは決してない。お姫様から盗みを働く奴は斬首刑になるからだ。  おれたちは最短時間でダンジョン内を調査できる最強のパーティーとしてギルドから重宝されていて、魔物のレベルが高い階には護衛がつく。その護衛と護衛の装備も自己資金でまかなえるから護衛人は数ある中から優秀な護衛人を選ぶことができる。  そんじょそこらの腕っぷしのいい勇者ご一行様よりも遙かに良い仕事ができるのだ。
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