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壁の向こう側に出ると両側の壁の松明に火が次々と点いていく。魔力の源もなく詠唱もしていないのに、自動的に火が灯るのは不思議だった。
「おおっ……!?」
「明るいわね」
「どんな仕掛けで点いているのでしょうか」
ヒルが瞳を輝かせた。
「これが古代文明の成せる技ってか」
「くーっ!これだから誰も攻めてない場所は楽しいんだよな!」
明るい通路は曲がりくねっていたが罠はなかった。ダンジョンに住み着いているはずの魔物も出て来ないとなれば、ドラゴたち一行は護衛人も含めてお宝の話に花を咲かせていた。
「やっぱりお宝と言ったら宝石よ!砂漠の女王が持っていたという虹色に輝く石とか…!!」
「こういう所は呪いのほうじゃないのか?ミイラの呪いとか、ありきたりだけどな」
「アンデッドの軍隊はどうですか?」
「それはヒルの望みだろ……。もし出たとして誰が片付けてくれるんだ?護衛2人だけじゃ足りねえぞ……」
話は弾んでいく。
「開かずの間の鍵が見つかったりしてな」
「このピラミッドを発掘した調査隊が見つけたという開かずの間ですね!」
「確か、まだ開けられてないんだったな」
「どんなものが隠されてるか楽しみだぜ!」
「鍵を見つける気でいるわね、ドラゴ」
「こっちのルートはまだ未調査だからな。確率は高いだろ!」
「何もない部屋の場合もあるでしょうけどね」
何もない隠し部屋はダンジョンに多く存在する。盗掘後だったり、王族の隠し部屋だったり。冒険者にとっては魔物に気付かれることなく暖を取るのに最適な場所になっている。
「鍵が必要な開かずの間だろ?絶対何かあるって…!!」
「今では全く価値のないものか、俺たちの理解を超える代物か……。どちらにせよ、古代人の宝がそこにあるということか…」
進んでいくと、鉄の檻のようなものが見えてきた。近付くと腰くらいまでの高さの鉄の箱だった。
ヒルが檻のようなものに飛びつく。
「ゴンドラですよ!!これ!!」
「ああ、鉱山の移動装置か…、ふむ」
「動くのかしら?」
「大丈夫だろ。ほら、ここに手回しハンドルがある。これに乗っていこうぜ!」
ゴンドラに乗り込むとオーロがハンドルを回して上へ登っていく。護衛人は敵が現れたときに必要で、ドラゴは罠や仕掛けを見逃せない。ヒルとペシェは力仕事に向いてないため、ゴンドラがどういうからくりなのか調べていた。
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