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幽閉同然の環境の中、祖父は只厳しく、幼い私には恐い存在でしかなかった。 祖母は優しかった・・祖父の目を盗んでは何かと世話をやいてくれた。 小学校に通わせて貰えなかった私には当然のことながら友達なんていなかった。 祖父にも、あの女にも愛された記憶はない。 狭い牢獄のような部屋の中、何故、私は生まれてきたのか・・生まれてきた意味があるのか幼な心に自問自答する日々だった。 愛してもくれないのに・・何故私を産む必要があったのか・・あの女への憎しみだけが積み重なっていった。 幸い、暴力を振るわれたり傷つけられたりする事はなかった。 只、気の遠くなるような孤独と寂しさの中、私は色んなものを諦めて求める事を止めてしまった。 私はこの年、17才になるまで殆ど笑う事がなかった。 小学校を卒業した日、あの女が突然、実家に現れて私を都心から離れた山奥にあるミッション系の全寮制の女子校に入れるよう祖父母に告げた。 身勝手で傲慢なあの女は祖父の反対をものともせず私を山奥の全寮制の学校へ放り込んだ 年若くして大女優となったあの女の周りを常にマスコミが嗅ぎ回ってた。 実のところ私はあの女の私生児だ。 私の父親とは婚姻関係はなかったらしく4度の結婚のカウントには入ってない・・・その事を世間は ・・知らない。 私の存在はあの女にとって・・あの女の立場を脅かしかねない都合の悪い・・邪魔者でしかなかった。 あの女はマスコミから私を隠す為、山奥の全寮制の学校に放り込んだのだ。 場所が変わっただけで孤独と寂しさは変わらない・・色んな事を諦めた私にはどうでも良かった。 たとえ・・それが、どんなに意に沿わない環境でも・・今は未だ私自身の力ではどうにも出来なかった。 それに・・あの女のように家出して自分の人生を切り開く勇気など・・私には到底ない。 高校を卒業して然るべきところに就職して、あの女の元から離れる。 その時が来るまでは不本意ながら・・今はこの状況に甘んじるしかなかった。 あの女の顔を見なくて済む寮生活は思ったより快適だった。 なのに・・あの女が私の前に突然やって来てとんでもない事を言い出した。 今まで何度、再婚を繰り返そうが私の籍を動かす事はなかった。 再婚も離婚もあの女の事はテレビか雑誌で知るだけで、私の生活に影響を及ぼす事なんて一度も無かったのに、今回だけは別だった。 身勝手なあの女は私の返事も聞かずさっさと東京へ帰ってしまった。
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