最後の戦士たち

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ときは西暦20xx年。かつて栄華を極めたお笑い芸人たち。ツービート、B&Bなどの漫才ブームから始まり、ダウンタウンやウッチャンナンチャンなどのお笑い第一世代、ナインティナインなどの第二世代、そして今やお笑い界は、第16世代まで来ていた。 「何でだよ!いい加減にしろ!どうもありがとうございました!」 最後に二人の男たちは力強くしっかりと、声を揃えてお客様に向かってあいさつをした。"スーパー池田屋"の屋上を貸しきってのスーパースターコンビ「ピンキーオニギリ」単独ライブは終わった。 二人きりのファミレスでの打ち上げで、ボケのテツオは泣いていた。 「何でだよ。」 「ボケのくせに突っ込むなよ。脈絡なく何に突っ込んだんだ?」ツッコミのシンタロウは、優しくテツオに突っ込む。 「俺たちはスーパースターだぜ?何だよ、単独ライブの会場が"スーパー池田屋"って!しかも店内じゃない。屋上だぞ!声通らねーし、笑い声聞こえねーしお客さん二人だし!」 「事務所の意向だ。雨降らなかっただけマシだろ。それにこのご時世お笑いを観に二人もお客さんが来てくれただけでもありがたいと思えよ。」シンタロウはオレンジジュースをグイと飲んで言う。 「そうだな。二人もお客さんを呼べるってすごいよな。やっぱり俺たちはお笑い界のスーパースターだ。」 「そうだよ。」 「今、お笑い第16世代と言われてる俺たちは今のお笑い界の中でダントツ1位だ。」 「3組だけどな、今のお笑い界。それと16世代って、俺たちが勝手に言ってるだけで、世間はほとんど知らないだろ。」 「俺たちピンキーオニギリ、コントの魔術師ポンコツタイヤ、そして、自転車漫談でお馴染みの、サイクルたけし!」 「誰も知らないよ。」 2015年頃から、お笑い界は廃れ始め、芸人人口は減少の一途をたどった。そして、芸人人口減少に拍車をかけたのが、2020年の東京オリンピックが大成功に終わった頃、教育界の偉い人たちによるお笑い撲滅運動だった。 つっこみは暴力。体を張る笑いはいじめを助長する。コントにおいての女装、男装は、ジェンダー問題にあたる。人の物真似をするとは、相手をバカにしてるのか。大声で意味不明な言葉を発しながら謎の動きをするギャグというのは、見てて気持ちが悪い。芸人っていらないんじゃないか? このような理由でお笑いは排除され始めた。そして20xx年、芸人はたった三組しかいなかった。 「でもさ、サイクルたけし
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