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一通り挨拶と寮と話し終えた三人の青年らは、少女が何処に入るのかを話していた。
「まだ、……まだ終わってないよ。後、一つ」
少女は、首を振った。確かに、一つまだ紹介されていないのだ。
「あぁ、ショワンウー寮の事? 彼処だけ絶対予算違うと思うんだよね~。どう思う?」
鳴海はすっと少女の言葉に反応し、笑いながら周囲に同意を求める。
「お城みたい……」
少女はぼそりと呟いた。その、西洋風の城の様な外装に。
『さっきのクロノス=ブラッディーフォールドが居る寮だよ。後、八戸神 吹雪や御咲 友とかね。取り敢えず、其処は貴方の嫌いな寒い冬をイメージしてある寮だ』
『因みに、マフラーとローブの色は黒だよ』
天使がショワンウー寮と呼ばれる、西洋風の城の様な外装の建物を指し、説明した。
どうやら、寮にはイメージしてある四季と、カラーが有るらしい。
慶喜は眼鏡を片手であげながら、追記した。
「友紀也の居る、カエルラドラコ寮のイメージシーズンは春でイメージカラーは緑。鳴海の居る、ルベルパッセル寮のイメージシーズンは夏でイメージカラーは赤。俺の居る、アルブムティグリス寮のイメージシーズンは秋でイメージカラーは白」
矢張り、それぞれに四季をイメージしてある様だ。成る程、木造平屋の壁の水色は夏の晴天をイメージしての物だったのかと少女は納得した。
「まぁ...殊祢さん、寒いのが苦手なら暑いのも苦手な人なんじゃないか?」
「すごーい。よくわかったね、お兄さん。まぁ、ボクは見たときから煉瓦の彼処にしようと思ってたんだけどね。それも、お見通し?」
「単純な考察だよ。カエルラドラコ寮に決めてたまでは知らないけど」
慶喜の考察に少女は手を叩き賞賛した。少女は、一目見た時からカエルラドラコ寮に決めていたようだ。其れを聞いてがっくりと擬音が付きそうに肩を落とす鳴海。彼的には、ルベルパッセル寮に来てくれると思っていたのだろうか。
「なぁんだ~、友紀也の寮かぁ~。ね、ね。今からでも遅くないよ、ルベルパッセルに来ない?」
『ま、何処でもいいさ。何処も対して住み心地は変わらないよ、私が保証しよう』
天使は胸を張り、ドヤ顔をする。住み心地云々は実際、適温保たれていれば少女的に気にしないのだ。
「緑のマフラー気に入った……。お兄さんと同じだねー」
鳴海の言葉は無視して、少女は友紀也の元に行くとそのマフラーをくいっと引っ張り微かに笑んだのだった。
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