絶望の独白

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ああ僕には何もない 何もかもついぞ先ほど失った ああ全てを奪った君よ 君のせいで僕は生きる理由をなくした 別段死のうとは思わない 自分を殺すだけの理由が空っぽの頭には考えつかないのだ 空は青く小鳥達はさえずり 嬉々として太陽の陽の光が 僕の部屋に差し込むのだが ああその僕といえば 君と最後に会話したあの日から 片手に空になった酒瓶を持ち もう片手にノイローゼな詩人の詩集を持ち 部屋の隅っこで目に涙をためているのだ これが絶縁ならどれだけ楽だっただろうか これが失恋ならどれだけ楽だっただろうか ただ僕は気づいたのだ 僕はただ君に認めてもらいたかったのだ ただ君に一度でいいから言って欲しかったのだ 「すごい、本当にすごいよ」と 何度だって君より優れていることを証明しようとしたさ でもその都度君は他人事のようにつまらない感想を述べ また自分の世界へと帰っていくのだ そうして僕は悟るのだった ああ一生君は僕を認めはしないのだと もう何年も流す事のなかった涙が自然と溢れ始めるのだ ああ君よああ僕よ 一生敵う事のない君よ 生きる意味を失った僕よ 一体これからどうしたらいいのだ 一体何を目指して 生きていくというのだ
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