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あらすじ
俺の家には人魚が居る――……。
偶然男と出会った人魚は、人間となり、女優となった。
美しい歌声で人々を魅了する元人魚。
しかし、美しかった彼女の心も、やがて人間の欲望に蝕まれ、ゆっくりと二人の歯車は狂いだす。
題材:人魚姫 作者:羽織
泡と霧 サンプル
俺の家には人魚がいる。
八月。ドラマの撮影の合間に撮っていた映画がクランクアップした。脇役ではあったが、それでもメインのメンバーだ。最後に死んだ事を抜かせば、自分の中では満足していた。
ただ、もう直ぐ三十路だ。役者としては油ものってきた。主人公とまでは言わないが、メインの役が欲しい。いや正直な話、主人公がやりたい。ヒット作に恵まれたい。映画史に自分の名前が残る程の。
そんな、役者としては微妙に行き詰まりを感じている俺に、半日フリーの日が出来た。単純に、レギュラー出演しているドラマの撮影がおして、俺のシーンにまだ入れないだけの事だ。
時間通りに撮影スタジオに来てみたら、今回のゲストの女優が駄々をこねている。と、メイクの子から聞かされた。そこにきて子役達の反抗期が撮影の遅れに拍車をかけているようだ。
そんな状態を目の当たりにして、火の粉を被りたくない俺は、撮影スタジオの端っこで台本を読んでいたが、ふと
…………続きは本編でお楽しみください
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