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チンと音が鳴り、エレベーターが目的の階に着いた。少年はエレベーターを降りると、右手奥の部屋に進んだ。真っ赤な壁に、真っ黒な絨毯が敷かれた廊下を進む。叔母さんのセンスで選んだ配色なのかは知らないけれど、毒々しい。部屋の中も、こんな感じだったら、落ち着かないだろうなと思う。
少年は手慣れた様子でカードキーを差し込むと、部屋の扉を開いた。部屋の中は一般的なホテルのように綺麗だった。靴を脱ぐための小さな棚があり、床も壁もつるつるとした素材で、真っ白だった。この部屋で生活していると言っていた通り、玄関の先にあるソファには、少年が脱いだであろう服が散乱しており、棚やローテーブルの周りには、本や漫画が積まれていた。
「散らかってるけど、まぁ、くつろいでよ」
少年は床に散らばったタオルや靴下を片付けながら、告げる。私は、ソファに脱ぎ捨てられた彼の服を畳みながら、腰を下ろした。
「何か食べる? 叔母さん、オレの給料から引くって言ってたよね? 無理矢理連れて来ちゃったのもあるし、ご飯、奢るよ。好きなの選んでよ」
少年は散らばった衣服とカゴに入れると、テーブルの上にあるメニュー表を差し出した。
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