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平日の午前中に制服姿の女子高生がブラブラしていることに、違和感を持つ人がいるかもしれない。けれども、現実の世界では、誰一人として、私に興味を持つ人はいなかった。私は学校をサボり、制服姿で、昼間から人で賑わう駅前の広場で、ぼぅとしながら、時間を潰していた。
自分以外の他人を気にしない。都会の冷たさが心地良かった。一人ぼっちになるのは嫌だけど、ここだと、大勢の人達の中で孤独を味わうことが出来る。信号待ちをしていた人達が、信号が青に変わった瞬間、一斉に歩き出し、色々な方向に入り乱れる。風が、足元の落ち葉を攫っていく。そんな様子を、飽きることなく眺めている。私はこの空間が好きだった。
駅ビルのトイレを借り、再び広場に戻って来ると、さっきまで私が座っていた場所には、大学生位の男の人が座っていた。熱心にスマホを覗き込んでいる。あぁ、私の場所が取られちゃったと、残念に思う。別に私の場所でもないのだけれど。
辺りが暗くなり始めると、急に気温が下がり、寒さを感じる。街頭に明かりが灯り、街が活気出す。学校帰りや、会社帰りの人で溢れ出した広場は、昼間よりも騒がしかった。私は、鞄の中からマフラーを取り出して巻いた。
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