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いかにも草食系な風貌で、穏やかな口調で語りかけ、優しい人だと思わせる。思わせといて、向かった先には乱暴な男の人たちが待っていたり、もしくは、この男の子自体がヤバイ奴で、いきなり襲ってきたりするのかもしれない。
悪い方向に考え過ぎだろうか。最近、ニュースを騒がせている悪質な事件のせいかもしれない。「犯罪をするような人には見えませんでした」と、顔にモザイクの掛かった隣人と名乗る人が、映し出されたテレビ画面が頭を過る。
それと同時に、こうも思う。私がもし、何らかの事件に巻き込まれたとしても、誰も気にしないのではないだろうか?
年の頃は16、7歳。身長は175cm以上ありそうだ。長身だけど細い。パーカーを着る胸板は薄く、袖から見える手首や足首は、私よりも細いのではないだろうか? もし、襲われそうになったら、思い切り鞄で殴り倒せば、逃げられそうな気もする。教科書を詰め込んだ鞄は、右肩に食い込む程、ずしりと重い。相手が単独だった場合によるけど。
「何で私に声を掛けたの? 普通、しないよ。知らない人を誘うなんてさ」
私は彼に訊ねてみた。
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