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原案(あらすじ)
目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。
高層ビルのらせん階段の途中。
(ここは何階だ?)
宮本は柵の隙間から下を見ながら確認する。
階段で目が覚めても驚かないくらい日が経っていた。
ある朝、目覚めたのは高層ビルのらせん階段だった。
昨日は普通に仕事をして帰ったはず。
いたずら?何かの犯罪?と思いながら、何気なくポケットを探ると「忘れ物を取りに行く」と自筆のメモがあった。
混乱しながら自宅へ戻り、いつも通り出勤して一日を終えたが、翌日も目覚めたのは同じ階段。
日付も昨日と一緒。
同じことを何日も繰り返すうちに、その日の行動によって翌日に目覚める階が違うことに気付いた。
やがて、階段を下りて一番に出会うのは必ず同じ少女だということにも気付いた。
少女はいつもこちらを見て微笑んでいたようだった。
直感的に「何か知ってる?」と声を掛けた宮本に、少女は「お兄ちゃんが望んだことでしょ」と笑いながら去って行った。
翌日、「どういうことか教えてよ」と聞くが、笑って逃げる。
追いかけてもなぜか捕まらない。
毎朝、意味深な言葉を残し去ってしまう女の子から真実を聞き出すのは諦め、いつもと違う行動をしようと宮本は決めた。
どうせ日付が変わらないなら、と理不尽に怒る上司・松田に楯突いてみた。
ある日は気になる同僚・雪子に声を掛け、ある日はデートに誘った。
ある日は大きな会議で大胆な企画を発表した。
ある日は死ぬほど酒を飲んだ。
明日は辞表を出してやろうか。
自分の中で少しずつ何かが変わるのを感じていた。
目覚める階は少しずつ上がっているようだったが、下がることもあった。
幅も一定ではなかった。
その法則が分かってきた気がする。
そういえば、忘れ物って何だっけ?
らせん階段から出られる日は来るのか。
忘れ物とは何か。
自ら変えていく「日常」で輝きを取り戻す男の話。
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