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二美花が目を輝かせて三春を見た。
「三春、この人にしな! あんたは間違ってない」
胸の奥が熱くなった。
そうだ、僕は間違ってない。
魂が抜けたようになっていた一愛が身体を起こし、三春を見詰めて言う。
「それで後悔しない?」
一愛の言葉は深く胸に沈んでいった。目を閉じ、一人の世界で再度自分に問いかけた。
本当に航一さんと結婚していいの。
ついて行ってみたい、ともう一人の三春の声が頭に流れ込んできた。航一をもっと知りたいと思い始めていた。
ゆっくりと目を開けると、一愛は眉毛をハの字にし、二美花は歯をむき出しにて笑っていた。二人に向かってこっくりと頷き、航一を見上げた。
「僕、航一さんと結婚する」
航一は僅かに目を瞠るとすぐに微笑んだ。長い睫毛に隠れたまなざしに胸がきゅんとした。
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