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「はい。セーラー服を着た三春さんはとても可愛かった。一人だけバーできらきらしていた。それを見てぐっと来たんです。結婚しろと親にせっつかれていたので、彼しかいないと思いました」
「は、はあ……」
風船に針で穴を開けたみたいに、一愛から気合が抜けて行くのが解った。ぐったりと背もたれに寄りかかった一愛の代わりに、興奮した様子の二美花が身を乗り出す。
「それで、それで?」
「結婚しないかと聞きました」
「三春は見た目は女っぽいけど男だよ」
「もちろんです。性別は気にしません」
「甘ったれで、家事なんてなんにも出来ないよ。フリーターだし、すぐむくれるし」
二美花ちゃん、と割って入ろうとするが無視された。
「けどとっても一途なの。子猫みたいにくっついたら離れないし。弟だけど可愛くて可愛くてしょうがないの。童貞じゃないし処女でもないけど、それでもいい?」
そんなことまで!
顔から火柱が上がるかと思った。
「それは男性も女性も経験があるってことですか。……仕方ないですよ。三春さんだって二十三歳ですから」
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