第2話

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 お手洗いに寄って戻るとすでに会計を終えた航一はいなかった。外に出ると、数メートル離れた先で背を向けて電話していた。近寄ると興奮したような声が聞こえくる。  聞いちゃ悪いかな、と思いながらも耳を澄ませた。  「ぴったりの男を見つけたよ。絶対上手くいく。これからは伝統より革新なんだ」  一瞬で足が氷柱になり地面と繋がったみたいに動けなくなった。  気配に気づいたのか航一が振り返った。  見開いた瞳が揺れ、口元には笑みの残滓がくっきりついていた。  「仕事の話。行こう」  電話を切り急いでポケットに仕舞うと、正面を向き航一はそのまま歩き出した。耳の裏側が赤みの抜けた色をしていた。  冷気を纏った風が吹き付け更に体温を下げていった。 (続く)
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