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歩道を歩きながら、三春は隣にいる航一の横顔を盗み見た。
さっきの話はどういう意味なのだろう。俺の計画にぴったりの男、と航一は言っていた。
それは自分のことなのだろうか。
「どうしたの」
航一が不思議そうな顔で言った。
「えっ? えっと」
不意に聞かれて三春は困った。ああ、とか、うう、と意味のない言葉を零すと航一が笑った。楽しそうだ、と三春は航一の目尻に寄った僅かな皺を見て思った。
「三春、可愛い」
「だって、どうしていいか解らないんだもん。航一さんのこと何にも知らないし」
「普通にしててよ。俺はそのままの三春が知りたい」
「じゃあ航一さんも教えて」
「いいよ。それじゃあラブホテルでも行こうか」
にっこりと航一が言った。今度は口元は綻んでいるが目は笑っていない。
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