第3話

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 「ええっ!」  三春は甲高い声を上げた。辺りにいたカップルが、何事かというような顔で三春と航一を振り返った。 「何を言っているの。僕たち昨日会ったばかりだよ」 「うん。だからこそ、相手の本当の姿を知るにはエッチが一番でしょ」 「だめだよ。そういうのは好きな人とじゃなきゃ」 「あれ、三春って友だち沢山いるって言わなかったっけ。セフレのことじゃないの」  航一のあけすけな言葉に三春はむっとした。 「違うよ! 僕は恋人としかしない」 「へえ。見た目によらず硬いんだね」  三春にとって友だちとは身体の関係が無い人たちだ。例えお互いが好意を抱いていたとしも、告白もないのに寝たりしない。  それが三春が姉達から教わった「おんなの哲学」だ。
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