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「航一さんは違うの」
三春は航一を睨んだ。おやおや、とでも言いたそうな顔で航一が口の端を引き上げている。
「俺は知りたいと思ったら全てを一気に見たい。気になる相手なら尚更だ」
「相手に好きって気持ちが無くても?」
三春の言葉に航一が吹き出した。くくく、と抑えながらも馬鹿にしたように笑っている。
「俺もう三十五だよ。高校生が恋愛しているんじゃない」
「告白も無しにホテルに行っちゃうの」
「まあね」
「じゃあエッチの後、その相手はどうなるの。正式に付き合う?」
「それは解らない」
「どうして」
「エッチまでは相手にすごく興味が湧いてても、終わるとその気持ちがすっかり無くなるんだよ。映画と同じさ。予告編はわくわくするけど、公開されたものを最後まで観たらもう二度と観たいと思わない。そういうもんじゃない?」
同意を得るように航一が三春を見た。
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