第3話

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 三春は首を振った。 「僕はそう思わないよ。もっともっと相手が好きになる」  腹立たしさと、裏切られたような気持が混ざった複雑な心境だった。  航一はやっぱり軽い人なのだろうか。なら、三春が感じた温かな瞳は何だったのだろう。   「ああ、そっちのタイプか。重そうだね」  微笑みながら航一が言った。  三春の顔がかっと熱くなった。  重い、と今まで付き合ってきた彼氏にも散々言われてきた。その言葉は別れてからもずっと引っ掛かっていて、心についた深い傷が組織液で水っぽく疼くのを感じた。  「こんなに価値観が違うのに、結婚なんてしていいのかな」  航一から目を逸らし俯きながら三春は言った。航一の革靴が黄色に色づいた銀杏の葉を踏みつけた。 「まあそう言わないでよ。俺は三春を選んだんだから」 「本当に僕で良かったの」 「言っただろう、三春に一目ぼれしたんだよ。唇がぽってりしてて、色っぽいなあって思った。それ以外に理由なんてないよ」
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