第3話

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 地下鉄の入口の前で航一と三春は立ち止まった。下へ続く階段がぽっかりと口を開けている。 「ごめん。さっき急に仕事が入ったんだ。今日はここで別れよう」  航一が言ったので三春は頷いた。  きっとホテルを断ったからだろう、と薄々気づいていた。  「いつ新潟に行く?」 「三春の準備ができ次第。今週末とかどうかな」 「解った。準備する」  じゃあな、と航一が踵を返そうとしたので、三春は咄嗟に呼び止めた。 「航一さん」 「なに」 「僕のこと、好き?」 「当たり前だろう。俺は真面目ではないけど、本気の相手とじゃなきゃ結婚しようなんて言えないよ」  三春は視線を彷徨わせた。 「僕はまだ、航一さんが好きかどうか解らない。さっきの話を聞いたら尚更……」 「はは、そうだね。けど俺は三春の全部が知りたい」  航一が三春を見詰めて言った。その瞳が好奇心に溢れているのがよく解った。  三春は、航一は追われるよりも追いたいタイプだな、とその両目を覗き込みながら思った。  
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