第3話

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 「それじゃあ、また連絡する」  と言って航一が片手を上げて階段を下っていった。  行っちゃった、と三春は低くなる航一の頭を目で追いながら思った。立ち止まったままの三春を追い越し、沢山の人が階段に飲み込まれていく。  航一と離れ、自分は今ひとりだと思うと、言い知れない不確かさが足元から登って来た。  小豆の粒みたいに数えきれないほど大勢の人が行き交うこの場所で、三春を気にしてくれる他人はいない。  三春は不安を振り払うように足早にその場を去った。
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