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出発の朝、三春は待ち合わせの駅前に向かっていた。昨夜連絡が入り、航一が車で三春を拾い高速道路を使って新潟に向かう予定になっている。
三春が到着すると、黒いコートを着た航一が二十歳くらいの若い女の二人組に声をかけていた。
何あれ……。
むっとしながら三春は航一の肩を叩いた。
「ちょっと」
三春に気付いた航一は悪びれる様子もなくにっこりと微笑み、女達に手を振って別れた。
「初日から浮気?」
頬を膨らませて三春が言った。髪を掻き上げ、困ったように眉尻を下げながら航一が答える。
「あんなの浮気に入らないよ。三春が遅いから時間つぶしに話していただけ」
「ふうん」
何だか面白くない、と三春は思った。
ちょっと遅れただけでナンパするなんて。
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