第4話

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 「ひゃあっ。何しているの」  口内に包まれ熱い航一の舌が三春の指の腹を舐めた。  じんと痺れた指先を引っこ抜くと、航一が子供みたいに歯を見せて笑っていた。 「三春の指、美味い」 「止めて下さいよ」 「照れるなって。顔が赤いぞ」  航一に言われて三春は頬を両手で包んだ。確かに熱い。  気を取り直して三春は〈桃の種〉の七味唐辛子味を一袋手取った。 「それ買うの」  航一が言ったので三春は頷いた。 「俺も欲しい」 「全部で十種類あるよ。他にもチョコとかの限定品がたくさんあるよ。どれにする」 「ぜんぶ買う」  航一が言った。三春は驚いた。   そわそわしたような、落ち着きのない様子で籠を手に持った航一は、お菓子を端から放り込んでいく。慌てて三春は言う。  「そんなに食べきれるの」 「大丈夫だって。買わない方が気になって運転に集中できない」  真剣な顔をした航一の横顔を眺めながら三春は彼についてひとつ気が付いた。  この人、すごく好奇心が強いんだ。
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