13人が本棚に入れています
本棚に追加
店前の岡部が女の子と帰って行きそうな気配に安心して、飯場は吉田を駅前公園向かいのバス停まで送って行くことにした。
「まだまずいよ」
明日が仕事だという吉田が最終バスを逃すまいと出ようとするのを引きとめる。
あまり早く行くと岡部と行き会ってしまうかも知れない。
「明日の報告楽しみにしてるからね」
吉田の腕をとる。ガッシリと肉付きの良い吉田に触れると安心できる。
終電まで2時間あるが大通りにさほど人通りがない。
田舎だな…と思う。
吉田のマンションに通じるバスは次が最終だ。
駅前だと言うのに閑散としている。店が何もないからだ。
「まぁ」
バス停の向かいの公園入口すぐのベンチでいちゃついているカップルがいた。
「あれ? さっきのイケメンとこぶた君の誰かじゃない?」
イケメンの薄い頭に隠されてこぶたの顔は見えない。
三匹のこぶたは似たり寄ったりな服装だった。誰だか特定出来ない。
イケメンの手がこぶたの胸を揉み、こぶたの手がイケメンのズボンから飛び出した肌色の長モノを扱いている。
「こんなところだけど最後まで行くかな?」
どう展開するかワクワクして聞くと、吉田は嫌そうにそっぽを向いた。
「たく、悪趣味だよ」
「僕、他人がするの見たことない」
呆れる吉田をよそに二人の様子を見詰めた。
イケメンが立ち上がり、こぶたにベンチの背もたれを掴ませて、白い丸いお尻を街灯の光りに晒す。
こぶたが高い声で何か言い、太く白いお尻がイケメンの向こうで揺れている。
イケメンが腰をゆっくり押し込むように動かし、最後に力強くグッと突き出した。
「わお、あれ、きっと入ったよね?」
飯場は小さな罪悪感にドキドキして、きゃあと照れる。
腕を掴んで、吉田の困った顔を見上げた。
吉田はずっとそっぽを向いたままだ。
イケメンの腰の動きに合わせて喘ぐ気配を、吉田も聞いているはずだ。
ふいに吉田が口を開く。
「淳さん…、興奮してる?」
そう言うと悲しそうに飯場を見た。
飯場は少し顔を曇らせて小さく首を振っり「僕もあんな風に感じれたら良いのに」とため息をついた。
女にも男にも、濡れ場を見ても、気持ちは昂らない。
一際高い声がして、二人は果てたようだった。
「早っ」
行為の早さに驚いている間にイケメンが走り去る。
最初のコメントを投稿しよう!