0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「二人とも十五歳で、かわいいんだけど、ちょっと大人っぽさが足りないというか……」
「はっきり言って、ガキ? 俺もう来るのやめようかなー」
常識のないイベンターのなかには人目にはばからず通る声で妙なことをひとりごちる者
がいる。今回はそれが舞台袖にいたありすの耳にたまたま届いてしまった。
~楽屋にて~
ライブが終わり、汗も拭き、着替えもすませ、後はバスの準備が整うのを待つだけの空
き時間。ありすは、みくにずっと胸にためていたことをつぶやいた。
「……わたしたちってさ、本当にお客さんを喜ばせてあげられてるのかなあ」
急にネガティブな口調で話しだしたありすにみくは戸惑った。
「なにいってるの、お姉ちゃん。今日のライブも大盛り上がりだったじゃない」
「確かに表面上はそう見えたけど、でも、わたし聞いちゃったんだ。一番前のお客さん数
人から、『大人っぽさが足りない』って。『もう飽きちゃった』って……」
「……」
きまずい沈黙が流れた。実はみくも、最近自分たちの中に何かが足りないということを
同じように感じていたため、即座に否定することができなかった。
「このままじゃいけないと思うの、わたしたち。今ノリにノッてると思うけど、だからこ
最初のコメントを投稿しよう!