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その後の反応は、数日前の川田と酷似していた。急に寡黙になり、質問にはほとんど何も答えない。上の空である。
「おい、M。帰りに気をつけろよ。大友から目を離すな」川田は言った。
「・・・・・・分かった」
Mさんは大友と同じ電車に乗ると、同じ駅で降り、彼の住むマンションまで送り届けるのだった。その間、2人に会話はほとんどなかった。
大友がマンションの上階から飛び降りて死んだと聞かされたのは、翌日だった。
Mさんの受けたショックは大きく、10年以上経った今も、買い物をする時は常にクレジットカードである。財布の中はいつも空っぽの状態だ。
「あの時の千円札がいつかまた自分のところに戻ってきそうで、怖いんです」とMさんは打ち明けた。
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