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「…大丈夫。慣れっ子だから…平気。今日も大変だったみたいだね…?」
彼女は本心を述べた。
事実、最初こそ戸惑いはしたが1週間に1度は来るこの奇行に半年も一緒にいれば流石に慣れる。
元よりストレスがそこまでかかる仕事をしている彼の少しでも役に立ちたいという思いしか伊織にはなかった。
「…ああ…ボイコットに居留守三昧…やべぇ…またイライラしてきた…」
どんよりと黒い何かがその身を覆いそうなほどげんなりとした彼を見て
「……怒らない、怒らない…。今日のご飯は隆哉が好きな肉じゃが作ったから着替えたら食べよ?明日は休みでしょ?後で膝枕もしてあげる…」
ふわりと優しく微笑む伊織はときゅっと優しく隆哉を抱き締め、サラサラと頭を撫でながら諭すように宥めるように静かに言葉を紡ぐ。
彼女の体温を感じ、優しく頭を撫でられればイライラは嘘のように…まるで体から毒素が抜けていくかのように溶けてなくなり、現れたのはそんな彼女への甘え。
家族以上の特別な存在である彼女にしか見せることのない我が儘。
「…着替えは?」甘えるようにじっと見つめ彼の口からぽろりと出たのはそんな言葉__
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