編集者さんと飼い猫ちゃん

～日常～

「おかえり…今日は少し遅かった…けど…やっぱりか…また買ったの…？」

帰ってきたであろう人物を出迎えるため彼女は玄関へ向かった。

ドアを開け玄関口へ入ってきた飼い主である男性の手に持たれた大量の紙袋を見てげんなりとして問いかける。

また、という事は常習であることは間違いないようだ。大量の紙袋を受け取りつつも中身を見ればどれもこれも服、服、服。

しかも自分好みではないヒラヒラのフリフリがふんだんに使われたものばかり。

既に着ない大量の服がクローゼットに溜まる中、それがまた増えたのだから溜め息が出るというものだろう。

「ただいまっ！着て！それ全部！今すぐにっ！」

彼女より遥かに高く優に180cmくらいはあるであろう高身長の男性。

年齢はざっと二十歳代後半といった感じか。

焦げ茶色の襟足が長い所謂ウルフカットの髪をしていて目付きの悪ささえ差し引けばイケメンという部類に入るであろう美男である。ぱっと見は。

矢継ぎ早に言われた台詞にも主語がなくお世辞にも頭が良いとは言えるものではない。しかも彼女の質問に対しての返答も無いときた。