第二章 蘇芳(すおう)

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 壁の棚にはびっしりと本が並べられ、机の上には怪しげな液体の入った瓶やら、植物やら、鉱物などが置かれている。  広げられたままの本は異国の言葉で綴られ、まったく読めない。 「少し散らかっているけど、気にしないで座って」  机に面した椅子を引かれ、言われるまま腰を降ろす。が、この散らかり具合はどう見ても少し、などという状態ではない。 「殿はここでいったい何をされているのですか?」  問われて、んー、と隼人は頭の後ろに手をやった。 「いろいろだけど、異国の言葉を学んだり、本を読んだり、錬金術をやってみたり……」 「錬金術?」  藤音は首をかしげて聞き返した。初めて耳にする言葉だ。 「金を作りだそうという南蛮の学問だよ。もっとも成功したことは一度もないけどね」 「はあ……」 「最初は自分の部屋でやっていたのだけど、失敗すると破裂したりするので、周囲の者から苦情がきて、ここに専用の場所を設けたんだ」
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