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いつの間にか、また眠ってしまったらしい。
次に眼を覚ました時には外はすっかり明るくなっていた。
寝床を出て、ふと窓の格子越しに中庭の社を眺めた藤音は、あら? と形のよい唇を動かした。
白の上着に紅袴。長い髪をうなじですっきりとまとめた、いつもの桜花の姿がない。
代りに別の侍女が社の周囲を掃き清めている。
窓の外を眺めたままの藤音に隼人が声をかける。
「外に何か?」
「今朝は桜花の姿が見えないと思って……」
天宮桜花は九条家に仕える巫女であり、舞いの名手でもある。天女の末裔と言われる家系に生まれ、癒しの力を持った不思議な少女だ。
とはいえ日頃はごく普通の娘であり、いつもなら桜花がせっせと城の中庭にある小さな社の手入れをしている様子が見えるのだが。
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