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第六章 王都
王都陥落の知らせを受けてから三日の後。
ようやく九条軍が載河に到着した時には、戦いはすでに終結していた。
柊蘇芳は各地で破竹の勢いで羅紗軍を打ち破り、王都をぐるりと取り囲んだ。
倭国軍のあまりにも早すぎる進撃。保身に走る将軍たち。楽観的に歪められた報告。すべてが羅紗十五代国王・宣統王に不利となった。
戦線を分断され、孤立した王都はわずか半日で倭国軍の手に落ちた。
温和な人柄で争い事を好まず、民に愛されていた王は都と運命を共にしようとした。
が、長らく仕えてきた側近たちは、その決意をかろうじて押しとどめた。
――どうか今は耐えて逃れてください。わが国にはまだ切り札がございます。この苦境を知れば、必ずや阿梨王女が船団を率いて西の海から戻ってきてくださるはずです。
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