第九章 約束

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第九章 約束

 若さもあるのだろう、羅紗水軍の船にいる隼人は日増しに回復していった。今では白瑛と一緒に甲板まで出られるようになっている。  最初は敵国の人間と冷たい視線を向けていた人々の態度も、少しずつ変化していった。  何しろ人見知りの激しい王子があれだけなついているのだ。悪い人物ではなさそうだ。  自然を相手に海に生きる者たちは臨機応変であり、柔軟な発想をする。  倭国は確かに敵だが、倭の人間すべてが敵ではないことくらい承知している。  その考え方は隼人と共通していた。  逆風に難儀しながらも船団は目的地である北の地・玉水に、ほぼ予定通りに入港した。  港では宣統王と側近たちが水軍の到着を待っていた。  紫色の長衣をまとった王は面やつれしていたが、しっかりと大地を踏みしめて立つ姿から威厳は失われていない。
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