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ノッポは木でできた人形の男の子です。パクスローム国の王女、ソフィの話し相手として、魔法で命を吹きこまれました。左頬に刻まれた、小さな赤い魔法陣がその証です。
身長は、人間の大人の手の、指先から手首くらい。木製の丸い関節と、針金でできた骨のおかげで、人間とほぼ同じように動くことができます。
ノッポはいつもソフィの部屋にいました。
病弱で、肺と心臓を患っていたソフィには、静かな空間と綺麗な空気が必要でした。ですから彼女の部屋は、城の隅の、自然に一番近い場所にありました。
ソフィはいつもベッドにいました。ノッポの居場所は、そのベッドのサイドテーブルです。
彼女はなぞなぞを考えるのが好きで、毎日のようにノッポと楽しんでいました。
彼が暗闇に落ちた日も同じです。
昼下がりのこと。本を読んでいたソフィは、ふと顔を上げて、まるで甘いお菓子を口に含んだような笑みを浮かべました。白い肌に碧い目がきらりと光ります。
ノッポはぶらぶらさせていた足を止めました。
「なぞなぞ出したいんでしょ」
「ふふ、よく分かったわね」
ソフィは歌うようにこう言いました。
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