初めて・・・

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なのに・・・ なのに・・・ 風「無理すんな」 どうして どうして、貴方は気付くの どうして、気付かれたの 風「俺のせいで、ごめんな」 違う これは貴方のせいじゃないよ これは、私のため 私だけのためなの 私の正体を知られたくなくて 私の正体をバラされたくなくて だから・・・ だから、貴方はそんな顔しないで あの時みたいに笑ってよ そんな辛そうな表情、貴方には似合わないよ 華「・・・」 そう伝えたいのに、口が開かない 目頭が熱い 華「ふう、が」 やっと出てきた言葉はひどく震えていた 風「・・・」 風雅はもう、何も言わない ただただ静かに、私を強く抱き締めているだけ だけど、その静かな空間は私にとって心地よく、私はぼろぼろと涙を流し続けてしまった 私はきっと、今日という日を忘れない いや 今日という日を、忘れられないんだ 初めて 人を斬ったという 肉を斬ったという その、瞬間を この、感触を この、感情を 私はきっと       永遠に忘れないだろう 例え これから先、人を斬ったとしても
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