はつこい白書

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聡からの引き継ぎ書を見ると、食事は仕事部屋でしているらしく、キッチンカウンターに置いておけばいいと書いてある。 簡単な間取り図を見る限り六十畳はありそうなリビングの他に、十畳程の部屋が五部屋はあるらしい。 キッチンだけでも一つの部屋のような広さで、リビングよりかは少し狭いが壁一面には黒の鏡面扉のウォールユニットがあり、真ん中に大きな御影石調の作業台、その下にはオーブンがビルトインされているアイランド式キッチンだ。 炊飯器や電子レンジなどはどこだろうかと壁を探っていると、扉を開けた中に収納されているようだった。 壁の中に全て収納されていて、作業する際は両扉を大きく開けシンクを使うようになっている。 「こんなキッチン……夢だなぁ」 料理の好きな萌は、自宅の二畳ほどしかないキッチンを思い浮かべ苦笑する。 美山家事代行サービスの顧客は皆裕福な家が多く、萌も顧客の家など見慣れてきてはいたが、純の部屋は頭一つ分は飛び抜けて凄いと言える。 間取りも大体わかったところで、まずは掃除から始めようかと掃除道具が置いてある収納を開け、中から音の出ないという掃除機を取り出した。     
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