はつこい白書

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仕事で来ているはずなのに、どこか浮き足立ってしまう自分の気持ちは一体どうすれば抑えられるのか、萌ちゃんなら大丈夫かと言ってくれた聡の信用を失うわけにはいかないと、何とか玄関に入る前に気を引き締める。 そうしなければ緩みそうになる口元の笑みを、萌をいじめる楽しみを見つけたとする恋人に揶揄われそうだ。 「おはようございまーす……月岡です」 シンとした室内に足を踏み入れる。 恋人になったからといって、突然関係が変わるかと言われればそんなことはなく、ドキドキと胸を高鳴らせていた自分が馬鹿みたいに思えるほど、午前中は純と顔を合わせることがなかった。 漸く純が仕事部屋から出て来たのは正午を少し回った頃で、萌も手を休めて家から作って持って来たお弁当を食べながら休憩を取っているところだった。 「あ……お疲れ様です。 昼食召し上がりますか?」 萌が箸を止めて作っておいた純の食事を温めようと立ち上がる。 家事が全く出来ないのだと言っていた言葉通り、電子レンジすらまともに使おうとしない、いや使えない純は黙って萌が食事の用意をするのを見ていた。 温まった皿を受け取った純は、萌が座ったカウンターテーブルに皿を置き自らもそこに座る。 それだけでも萌は嬉しくなる。     
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