1人が本棚に入れています
本棚に追加
SAVE1
私は今、草原を靡く風を肌で味わいながら二人の友人のそばにいる。
「わたしぃ、こういうの無理ゲ―なんですけどー」
私の後ろにいる冒険服を着た赤髪の彼女……いや、ホントは男である彼女は私の友達の黒崎悠馬。いや、今は”ユマちゃん”か。顔立ちや体格的には男の娘という部類に入るのだろう。
「ユマちゃん、俺とあんなことやこんなことしようぜ」
そして彼女の横にいる茶髪の目が死んでいる冒険服を身に着けている男は同じく友達で小路匠。建物を作ったり、家族を作ったりなどといった戦闘系以外の育成ゲームが得意な男子学生である。ちなみにエマに関しては女の子が登場するゲームを得意としている。女の子が主体となってストーリーを物語られるゲーム、いわゆる乙女ゲームを一番好むらしい。そしてその女の子の気持ちに同情してしまう子である。
「あの……まだ心の準備が……」
そう言ってエマは顔を隠す。あざとい。
「おい、お前ら。言っておくが、これは仮想ゲームだぞ。実際には男同士でそれを行うんだからな?」
「は?俺が男同士やるわけないじゃん。なあ」
匠はエマのお尻を服の上で手で靡く。
「きゃっ」
「ふぼけっ!?」
彼は彼女に剣で刺されてしまった。そしてその場で倒れ伏せる。
「おい、真上からお前らの髪しか見えねえぞ。どういうことだ?」
「ごめんなさい」
「お前ら、何してんだよ。再起」
私たちの近くに匠が復活した。いや、時を戻したといった方がいいのだろうか。
私たちは最強である。エマである黒崎はどんな恋愛ゲームでも必ず振られることなく、コンプリートをしてしまう。匠はというと建物を作った資金やいい家庭の評価は最高位を争うほどの富豪である。そして私は頭脳系ゲームが得意である。パズル系やクイズ系などである。スピードを競い合うゲームはトップ三位以内に必ず一日以内に入っている。そう、私たちはジャンルは別だが最強の三人である。そして私たちは今、VRというゲームを初めて使用してアドベンチャーゲームをしている。果たしてこの先、どうなることやら。
最初のコメントを投稿しよう!