1.旅のはじまり

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 思わず声の揃う三人だった。 仲村秀二と名のったその青年は、三人のふたつ年上の28歳だという。  やはり、というか、隣の席の強みか、自然、話がはずむのはスミエだ。後ろの二人に気づかれないように、リサコがつぶやいた。 「ま、今回は古賀にがんばってもらうか」 「どしたの、めずらしい。君好きそうジャン。あーゆータイプ」 キョウカが問う。 「いーの」  きっぱりとそう言いながら、リサコは1冊の本をとりだしながらキョウカに尋ねた。 「君こそ、いいの?それで」 「私にはダーリンがいるからね。一応」 「一応って……。でさ、今回の行き先なんだけど、これちょっと見てよ」  そう言ってリサコがキョウカに渡した本は"富士山の伝説"というややベタなタイトルだった。 「……まーた、荷物になりそうなモン持ってきて。好きだねえ」  あきれながらも、キョウカはリサコからそれを受け取り、パラパラと中をざっと見る。 「あやしい……」 「何でー、いいじゃないかー歴史と伝説に彩られた地、富士山!コノハナサクヤとかー竹取り物語とかー、人穴伝説とか、いかにもーって感じじゃない?樹海とかさ」 「ま、ね、歴史と伝説は私も好きだから。で?最初はドコ行きたいって?」     
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