Rival's Lost

3/4
前へ
/478ページ
次へ
 この速度域で俺の前を走る車など、誰しも想像出来ないだろう。  しかし、この速度域以上の速さでマシンをコントロールしていた者が、この場所で実在していたんだ。  阪神高速湾岸線のアスファルトを、350km/hで駆け抜けた者が・・・。  俺の前を走り、抜かす事すら儘ならなかった戦いが、そこには確かにあった。  俺はその事実を、誰かに知って貰いたい。  この事実を知る、数少ない者以外のために。  ー・・・でなければ、俺の目の前に"蒼龍"が現れた時の、求める物すら何なのか解らなかった過去の俺に戻ってしまう気がするのだ。     速さとは何なのか、強さとは何なのか。  "終わり"や"限り"のない答えだと、既に知りながら・・・  俺はまた、後戻り出来ぬ世界に(いざな)われようとしていた。      
/478ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加