Obstruction(Ⅰ)

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 倉庫に一人残るルナは出発して行った大樹と綾の二人をせせら笑い、依然としてその場に留まっていた。    ―・・・その頃、大樹は小型の4ドアセダン車である緑色のEK3型のシビック・フェリオを全速力で走らせ、港の波止場へ向かっていた。  キャンバー角を限界まで傾け、車高を極端に下げた車体の底に取り付けられた金色のASR製ロアアームが地面と擦れ、火花を散らす。  倉庫郡をジグザグに走り、タイヤとの摩擦面積が少ないためFF駆動だがオーバーステアが強い。  ステアリングを切った内側へ巻き込むフロントノーズを、大樹は数㎜単位のカウンターを当ててコントロールしていた。  アクセルペダルは常に全開。  車体はいつ、コーナー外側へ向いて吹き飛ぶかわからない極限のコントロールである。  
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