Obstruction(Ⅰ)

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 重箱の中は、茶褐色に乾燥した植物の葉が敷き詰められていた。  漁船の男達は重箱の中の匂いを嗅ぐと、満悦そうに大樹へ不適に微笑む。  「謝謝((ありがとう))」    男達が大樹へ礼を告げ、ジェラルミンで造られた頑丈なアタッシュケースを渡す。  「あんがとな、中華のおっちゃん。  また今度もウチの会社ひいきして配達させてな」  大樹はアタッシュケースを何事も無かったかの様にフェリオのトランクへ積み込み、一目散にその場から逃げる様に走り去った・・・―  
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