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「彼は宛がわれた部屋…………屋根裏部屋にいました。そこが、かつては使用人部屋だったのは彼から聞きました」
「ええ。彼の一族は代々、うちに仕えていたそうです。よく祖父の身の回りの世話をし、いつかは祖父の執事になるのだと思っていたと」
「背丈? 同じ位…………だと思います。名前は知りません…………絵が下手なので書けはしないのですが。特にこれと言った特徴はありません」
「祖父の見合いに付いて行った折に、祖母に会ったそうです…………一目惚れ、だったそうです。それも両想いの」
「身分違いの恋は報われないもの。なんだそうです。あんまり実感はわかなかったけど」
「密会していたのがバレて、彼は祖父に殺されました…………愛してた訳でもないのにプライドだけは高かったから」
「それが動機かって?
「そうでしょうね。復讐…………だと彼は言っていました」
「…………? いえ、だから、殺したのは彼ですよ」
「確かに嫌われてはいました。成長するのを恐れているようにも感じました。
「でも、違います。
「恨んではいなかった。寧ろ大切な肉親だと思っていた」
「だって、あの時…………父も母も呼んでも、呼んでも応えてくれなくなった時、一人ぼっちになったことを自覚して、何も出来ない事を自覚して…………
「それを救ってくれて、嫌々だったかもしれないけれど、育ててくれたのは祖母と祖父でしたから…………」
「祟り殺されたんですよ、祖父は単に」
「そんな怒鳴らないで下さい」
「信じられないかも知れませんが、これが全てです。寧ろ、こうならないように止めていた側なんですから」
「…………血が付いていた? 現行犯だ?」
「そう、言われましても」
「彼が殺したんです…………信じて下さい」
「なぁ、そこで見てるなら、本当の事を言ってくれよ」
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