悪魔の子と呼ばれた男

9/13
前へ
/327ページ
次へ
「……何か…心臓が…変な感じがする…ちょっと苦しいのに…嫌な感じはしない…これは…何だ…」 「お前さ初めてか?こうやって誰かに気持ちをわかって貰うの。まぁそれでも完全にはわかってやれないとは思うけどな。でも、傷つけられんのに慣れるとかはないからさ。誰だって痛ぇよ。…だからこそ、理解して貰えたら嬉しいんだよな」 アカギはこんな感情は知らなかった。彼が知っている感情は “楽しい” “ムカつく” “殺したい” “つまらない” “苦しい” “痛い” の6つだけだ。悲しいなんて今まで感じたことはないし、嬉しいなんてあるわけがなかった。 どこに行っても悪魔の子と言われ続けてきた。どうでもよかった、自分には関係ない。 そう思ったのは半分で、もう半分は苛立ちだ。 なぜ自分がそんな事を言われないといけないのか。 何もしていなくても、ただそこに存在するだけでそう言われたのだ。
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加