悪魔の子と呼ばれた男

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今まで生きてきて、きっと初めて言われた。 『おっちゃんが悪い。こいつに謝って』 『大人だって傷つけば痛いよ』 『言うわけないじゃん。お前は何も悪い事してないのにさ』 胸がぐわぁって熱くなる気がする。これも彼が感じるのは今日が初めてだ。 「こういう時はさ、ありがとうで良いんだよ」 「……ありがとう…」 ルディアの言葉にぽつりと呟くように アカギは口にする。 「いーよ!だって仲間だろ!」 アカギからの礼に、ニカッとルディアは歯を見せて笑う。 その屈託のない笑顔をアカギはどこか 眩しげに見つめる。 「オマエ……やっぱ面白いねェ…」 しかしすぐにニヤリと口角を上げた。 もうすっかり、いつもの彼へと戻ったようだ。
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