第四話

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 「私の、知り合いの情報なのだけどね、カルマリアに一人捕まっているみたいなの。アルシェルと同じ、”五大悪魔”が」  ソルシアの言葉にアルシェルは驚いた。真剣な表情になる。  「本当に?その人の性別は?カルマリアのどこにいるの?」  「情報は確かなものだけど、詳しい情報がないの。もしかしたら、アルシェルが探してる子かもしれない」  「ありがとう、ソルシアさん。ヨブさんに話しに行く」  アルシェルは焦るように立ち上がった。急いで帰る支度をするアルシェルを抑制するように、声を掛ける。  「アルシェル、冷静にね。相手がカルマリアということを忘れないで」  「はい。奪還に成功したら、またここへ来ます」  「必ず、帰ってくるんだよ」  アルシェルは勇んで扉を開け、行ってしまった。残ったソルシアに、マリアは声を掛ける。  「お母さん、今の。カルマリアって、どういうこと。危ない話?」  「マリア、聞いてたの・・・・・・あの子は、ずっと同郷を探してるの。あなたと同じように。その情報を、教えたの。確かに少し危ない話だけど、あの子なら大丈夫よ。きっとね」  いつもと変わらない穏やかな笑みを浮かべるソルシアにマリアはそれ以上何も言えなかった。  マリアはアルシェルが戦っているところを実際に見たことはないが、酷い怪我をしているのは何度も見ている。手当だってしてきた。アルシェルは、どんな怪我を負っても、あの笑顔を崩さい。いつだって笑っている。 どうして笑えるのか、何度聞いてもまともに答えてくれたことはない。それはマリアが踏み込んでいい領域ではなかった。 『悪魔を守るためなら手段を選ばない』それは少し前に、アルシェルの保護者でもあるヨブが言っていた言葉だ。 胸がざわついた。カルマリアの恐ろしさを、マリアはよく知っているからだ。
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