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朝、起床。
ゆさゆさと優しく体が揺れる。
「恭助さん…時間だよ…」
間延びした声が俺を呼ぶ。うっすら目を開けると少女が溢れんばかりの笑顔を向けた。
「おはよう…先生。起きれる?ご飯はもう出来てるけど…」
目の前の少女は俺の教え子であり、彼女だ。俺達は付き合っている。
手を伸ばし髪をくしゅくしゅ撫でてやる。
「…な、なぁに…?髪…くしゃくしゃになっちゃうよ…」
言葉とは裏腹に嬉しそうな顔しやがって…
「起きるよ。お前がちゅーしてくれたら、一発で」
「え……ええっ?!」
りんごのように染まる頬。どうしようと恥じらいながら困ったように視線をさ迷わせる。
「…してくれないのか?」俺はだめ押しの一言を投下しじっと見つめてみる。
キョロキョロと更に視線をさ迷わせながらもフルフルと弱々しく首を横に振る。
「し、します…」震える声でそう言いゆっくりと顔を近づけてくる。
俺はじーっと見つめ続ける。
「…せ、先生ぇ…」
「どうした?」
くしゃっと泣きそうな表情をして
「せ、せめて目は閉じて下さい…お願いします…」
「お前の可愛い顔、見てたいんだけどな…ダメか?」
そう俺が言うとグッと言葉に詰まり更に瞳が潤んできた。
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