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あ、ごめんね。ええと・・・バス停の話だ!僕、いつも家族に笑われちゃうんだ。「おまえはすぐに話が脱線するね」って。あ、脱線って知ってる?話があちこち違う話しになっちゃうんだよ。でもね、電車が線路から落ちるのも脱線っていうんだって。物知りでしょ、僕? あ、いけない。また脱線しちゃった。ええとね、そうそう。バス停から僕の家までは林の中とはいえ、一応1本道の道路を歩けばつくんだけどさ、何故か近所のおじいちゃんおばあちゃん達はいつもその坂道を歩く時にね、こう言うんだよ。 「こわい」 「ああ、こわいこわい」 「この坂、こわいね」 とにかくねバスの終点から先の僕の家に続く坂を「こわい」って言う人がいっぱいいて不思議なんだよ。うん。昼でも薄暗くて夜になれば外灯はないからみんな小さな懐中電灯持ってるし。吹雪けば前が見えないし。確かに怖いけど・・・ でも、なんか変なんだ。真ん丸お月様がでて夜でも月が明るくても「こわい」って言う。それどころか昼は薄暗いってお日様が結構照らす日でもやっぱり坂を登るときは「こわい」って皆が言うんだよ。 確かにこの辺は昼でも木が沢山しげってて。そしてね、狐ともよく出会ったりするよ。僕の家の庭にもやってくるし。あと、もっと山奥へ行けば鹿や熊もいるんだって!そういう動物が最初怖いのかなって思ってたけど・・・ 最初は何が怖いって思ってるのかわからなかったけど・・・僕は気付いたんだ。 「この坂には昼も夜もオバケがいるんだ!」
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