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小学校4年生。 相変わらずこわい坂に外灯は増えていない。そして近所のおじいちゃんおばあちゃんは昼も夜も関係なく家の前の坂道で「こわいこわい」と何度も言っている。でも、僕は特別に怖い体験をしないまま薄暗い道を歩くのも慣れてきた。 うん。オバケなんてこわくないもん! 夏休み明けの2学期。近所に同級生の女の子が引っ越してきた。その子が道を覚える数日間は僕が一緒に学校まで送り迎えするようにってお母さんに言われた。ちょっと嬉しかった。だってお母さんと一緒に挨拶に来たその子はとっても可愛い子だったから。 転校初日はお母さんと一緒に学校に来てた。だからその日の帰りから僕らは一緒に帰った。とてもいい子で話しやすくて。明るくて笑い顔が素敵で。僕もその子もお互い沢山話して。気付けばあっという間に終点のバス停が見えてきた。 ああ、そうだ・・・。どうしよう。僕はいままで見た事がないけれど、もし今日オバケが出たらどうしようって。一人ならすぐに逃げるけど、今日は女の子と一緒だから僕が守ってあげないといけないよね?でも、僕は体育が苦手だから守れるかな・・・。 走行してるうちについに「こわい坂」を僕らはのぼりはじめた。 『でも、夏で空は明るいし大丈夫だよ、きっと・・・』 僕は心の中で何度も繰り返し思いながら手をぎゅっと握った。
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