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その子は坂を登るのがつらそうで。体が弱いってお母さんが言ってたのを思い出した。だから鞄を持ってあげて一緒にゆっくり坂を登ってた。そしたらその子が急に坂の途中で立ち止まってゼエゼエと走った時みたいな息をしながらこういった。 「この坂、こわいね。本当こわい・・・」 僕はあんまりにもびっくりして心臓がバクバクした。やっぱりオバケがいるのかってこわくなった。木の葉っぱの陰で影になってる部分も多いから少し薄暗いからどこかに隠れてる? ああ、やっぱりこの坂にはオバケがいるんだ・・・ 僕は一人ですぐにその場から逃げ出したかった。でも、その子を置いて帰るわけにはいかない。おんぶする?でも僕の方が小柄でおんぶなんてきっと出来ない。だから僕は一生懸命我慢してオバケなんてこわくないって顔をしてその子を家まで送り届けた後、ダッシュで家に帰った。 次の日。 朝は何も言わず普通に学校に行ったのだけど、やっぱり帰り道の終点からの上り坂の途中でゼエゼエと苦しそうにしながらやっぱり言った。 「こわいね、やっぱりこの坂「こわいね、やっぱり」 『え、今日もいるの!?』と僕は言いたくなるのをグット押さえた。どうしてその子に見えて僕に見えないんだろう?その子だけじゃない。おじいちゃんおばあちゃんも見えてるみたいだし。 でも、見えたらもっとこわいよね? 今すぐ逃げ出したい。見えないから何をされるかわからない。それがとってもこわい。もう、僕はおしっこちびりそうな位こわい。 でも、おばけはどこにいるのだろう?まだ明るいのに。
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