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でも、どれだけ探しても僕にはオバケが見えなかった。
でも、オバケってどんな姿なの?僕はとてもこわかったけど、ちょっとだけ興味が出てきた。
だって、今まで一度も襲ってきたことないしね。いいオバケなのかな?
「あのさ、君はオバケが見えるんだよね?僕、全然見えなくて・・・」
「ん?オバケってあの夜に出るお化け?」
「うん、そう。あのオバケ」
「うんん。見えないよ。お化けなんて。いるわけないよ?」
そういってその子は不思議そうな顔をして僕を見ていた。
だって君が「こわい」ってオバケでしょ?そう思うと僕はちょっとムッとした。
でも、もしかしてオバケじゃないのかな・・・?
「え、だって昨日も今もオバケがこわいって言ってたよね?ええとね、何がこわいの?」
「え、違うよ。オバケじゃなくってね、こわいってこわいだよ。だってこわいじゃん、この坂」
その答えはナゾナゾみたいだった。僕はナゾナゾが苦手なんだけど・・・。どうしよう、全然意味がわからない。でも、その子も一生懸命に僕に何度も教えてくれた。
そう。「こわい」というのは「疲れる」とか「体が辛い」という意味らしい。
要はその子が「こわい坂」といったのは「疲れる坂」という意味なんだって。
なんで「こわい」っていうのか知らないけど、こういうのを「方言」って言うんだよってその子は教えてくれた。
とにかくこの坂には初めからオバケなんていなかった。じいちゃんばあちゃんがいう「こわい」も「きっと疲れるとか坂が急だから大変って意味だよ」って優しく教えてくれた。
もし、その子が教えてくれなければ僕はずっと「オバケ坂」だと思っていたよ。
事実をしった僕は急に恥かしくなって俯いていたら「知らないからしょうがないよ」って。そう言ってくれたのがすごく嬉しかったんだよね、うん。
あれは本当に恥かしかったな・・・。
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